第3章 都道府県知事への報告について - 第3節 臨時報告

臨時報告とは、贈与税の納税猶予制度の適用を受けている経営承継受贈者が、経営承継贈与者の死亡による納税猶予税額の免除を受けるにあたり一定の事由に該当しないことを報告するものです。

なお、納税猶予の適用を受けている非上場株式の贈与を複数回行った場合においては、最も古い時期の経営承継贈与者の相続が開始した場合に、臨時報告の提出が必要になります。例えば、1代目→2代目、2代目→3代目、3代目→4代目と納税猶予の適用を受けた株式の贈与が繰り返された場合、1代目の相続が開始した際に、臨時報告の提出が必要になります。

特別贈与認定中小企業者は、事業継続期間中に経営承継贈与者の相続が開始した場合には、当該相続の開始の日の翌日から8カ月を経過する日までに、毎年の事業継続報告(年次報告)とは別に臨時報告を行うことが必要です。

臨時報告の結果、一定の事由に該当しないことが確認された場合には、都道府県知事から様式第16による確認書が交付されます(円滑化法施行規則12⑭)。

経営承継受贈者は、納税猶予税額の免除を受けるためには、当該経営承継贈与者の相続の開始の日の翌日から10カ月を経過する日までに、税務署長に当該確認書を添付した一定の届出書を提出することが必要となります。

贈与税の納税猶予制度の適用の前提となる認定に係る臨時報告(円滑化施行規則12⑪)

贈与税の納税猶予の臨時報告の提出に当たっては、以下の項目を報告する必要があります。報告書は、様式第15を使用します。

11 第一項の規定にかかわらず、特別贈与認定中小企業者は、当該認定の有効期限までに当該特別贈与認定中小企業者の経営承継贈与者(当該経営承継贈与者が当該特別贈与認定中小企業者の経営承継受贈者へ認定贈与株式を法第十二条第一項の認定に係る贈与をする前に、当該特別贈与認定中小企業者の認定贈与株式を法第十二条第一項の認定に係る受贈をしている場合にあっては、当該特別贈与認定中小企業者の認定贈与株式を法第十二条第一項の認定に係る贈与をした経営承継受贈者のうち最も古い時期に当該特別贈与認定中小企業者の認定贈与株式を法第十二条第一項の認定に係る受贈をした者に、贈与をした者とする。以下同じ。)の相続が開始した場合(当該認定に係る贈与に係る贈与税申告期限前に当該経営承継贈与者の相続が開始した場合を除く。)にあっては、当該経営承継贈与者の相続の開始の日(以下「臨時贈与報告基準日」という。)の翌日から八月を経過する日までに、次に掲げる事項を都道府県知事に報告しなければならない。

「当該認定に係る贈与に係る贈与税申告期限前に当該経営承継贈与者の相続が開始した場合」を報告対象から除外しているのは、贈与税の納税猶予制度の適用前の状況であるためです。

また、報告期限を「相続開始の日の翌日から8月を経過する日」としたのは、猶予された贈与税の免除を受けるためには、相続開始の日の翌日から10ヶ月を経過する日までに、税務署長に免除届出書を提出する必要があるからです。

一 臨時贈与報告基準期間(当該臨時贈与報告基準日の直前の贈与報告基準日の翌日から当該臨時贈与報告基準日までの間をいう。以下同じ。)における代表者の氏名

後継者が代表権を有し続けているか確認します。

二 臨時贈与雇用報告期間(当該特別贈与認定中小企業者の経営承継受贈者の贈与税申告期限の翌日から当該認定の有効期限までの期間内に経営承継贈与者の相続が開始した場合における当該贈与税申告期限の翌日から当該相続の開始の日の前日までの期間をいう。)の末日において、当該臨時贈与雇用報告期間内に存する当該特別贈与認定中小企業者の贈与報告基準日におけるそれぞれの常時使用する従業員の数の合計を当該臨時贈与雇用報告期間内に存する当該贈与報告基準日の数で除して計算した数

臨時贈与雇用報告期間(経営承継受贈者の贈与税申告期限の翌日から経営承継贈与者の
相続開始の日の前日までの期間をいいます。)の末日において、当該臨時贈与報告期間内に到来した贈与報告基準日におけるそれぞれの常時使用する従業員の数の合計を、当該贈与報告基準日の数で除して計算した平均従業員数が、贈与の時における常時使用する従業員数の8割以上であるかどうかを確認します。

なお、施行規則第13条の切替確認申請を行い同条第1項の確認を受けた場合には、贈与雇用判定期間の末日において雇用確保要件の判定を行いますので、臨時贈与雇用判定期間の末日において雇用確保要件の判定は行いません。

三 臨時贈与報告基準期間における当該特別贈与認定中小企業者の株主又は社員の氏名及びこれらの者が有する株式等に係る議決権の数

後継者が株式等を譲渡していないこと、また、後継者がその同族関係者で総株主等議決権数の過半数を有し、かつ、同族関係者の中で後継者が筆頭であることを確認します。

四 臨時贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者が上場会社等又は風俗営業会社のいずれにも該当しないこと。
五 臨時贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者が資産保有型会社に該当しないこと。
六 臨時贈与報告基準事業年度(当該臨時贈与報告基準日の直前の贈与報告基準日の翌日の属する事業年度から当該臨時贈与報告基準日の翌日の属する事業年度の直前の事業年度までの各事業年度をいう。以下同じ。)においていずれも当該特別贈与認定中小企業者が資産運用型会社に該当しないこと。

認定中小企業者が、上場会社、風俗営業会社、資産保有型会社、資産運用型会社に該当していないかを確認します。

七 臨時贈与報告基準事業年度における当該特別贈与認定中小企業者の総収入金額

総収入金額(営業外収益及び特別利益を除きます。)が零でないことを確認します。

八 臨時贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者の特定特別子会社が風俗営業会社に該当しないこと。

報告主体である特別贈与認定中小企業者に加えて、その特定特別子会社も風俗営業会社に該当しないことを確認します。