第3章 都道府県知事への報告について - 第1節 事業継続報告(年次報告)

事業継続報告(年次報告)とは、事業継続期間中に贈与税又は相続税の納税猶予制度の適用を引き続き受けるために、その適用の前提となっている都道府県知事の認定について取消事由に該当しないことを報告するものです。

都道府県知事の認定を受けた中小企業者は、贈与税又は相続税の申告期限の翌日から5年間(当該認定の有効期間。「事業継続期間」)、当該申告期限の翌日から1年を経過するごとの日の翌日から3ヶ月を経過する日までに都道府県知事に事業継続報告(年次報告)をすることが必要です。

事業継続報告(年次報告)の結果、取消事由(円滑化法施行規則第9条第2項・第3項・第4項ただし書)に該当することが判明した場合は、認定が取り消されることになります。また、報告を怠った場合にも認定が取り消されることになります。取消事由に該当しないことが確認された場合には、都道府県知事から確認書が交付されます。

経営承継受贈者又は経営承継相続人は、贈与税又は相続税の申告期限の翌日から5年間、当該申告期限の翌日から1年を経過する日ごとの日の翌日から5ヶ月を経過する日までに税務署長に当該確認書を添付した一定の報告書を提出することが必要となります。

贈与税の納税猶予制度の適用の前提となる認定に係る事業継続報告(円滑化施行規則12①)

贈与税納税猶予の年次報告の提出に当たっては、以下の項目を報告する必要があります。報告書は、様式第11を使用します。

第十二条 特別贈与認定中小企業者は、当該認定に係る贈与に係る贈与税申告期限から五年間、当該贈与税申告期限の翌日から起算して一年を経過するごとの日(以下「贈与報告基準日」という。)の翌日から三月を経過する日までに、次に掲げる事項を都道府県知事に報告しなければならない。

円滑化法施行規則第6条第1項第7号の事由に係る認定(贈与認定)を受けた場合には、贈与税の申告期限から5年間、贈与報告基準日(贈与税申告期限の翌日から起算して1年を経過するごとの日)の翌日から3ヶ月以内に、以下の事項を都道府県知事に報告する必要があります。

一 贈与報告基準期間(当該贈与報告基準日の属する年の前年の贈与報告基準日(これに当たる日がないときは、贈与認定申請基準日。以下同じ。)の翌日から当該贈与報告基準日までの間をいう。以下同じ。)における代表者の氏名

後継者が代表権を有し続けていることを確認します。

二 当該贈与報告基準日における常時使用する従業員の数

事業継続期間の末日に、期間中の各贈与報告基準日における常時使用する従業員の数の平均を計算し、その平均人数が贈与の時における常時使用する従業員の数の8割を下回っていないかどうかを確認します。

また、資産保有型会社又は資産運用型会社に該当することとなった場合は、事業実態のある会社かどうかを判定することになり、その際に必要となります(常時使用する従業員(経営承継受贈者と生計を一にする親族は除きます。)の数が5人以上であることが必要になります(円滑化法施行規則6②一、9②十二・十三)。

 三 贈与報告基準期間における当該特別贈与認定中小企業者の株主又は社員の氏名及びこれらの者が有する株式等に係る議決権の数

後継者が株式等を譲渡していないこと、また、後継者とその同族関係者で議決権の過半数を有し、かつ、同族関係者の中で後継者が筆頭株主(同族関係者の中に当該代表者と同じ割合の議決権数を有する株主がいても当該代表者は筆頭株主となります。)であることを確認します。

四 贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者が上場会社等又は風俗営業会社のいずれにも該当しないこと。
五 贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者が資産保有型会社に該当しないこと。
六 贈与報告基準事業年度(当該贈与報告基準日の属する年の前年の贈与報告基準日の翌日の属する事業年度から当該贈与報告基準日の翌日の属する事業年度の直前の事業年度までの各事業年度をいう。以下同じ。)においていずれも当該特別贈与認定中小企業者が資産運用型会社に該当しないこと。

贈与認定中小企業者が、上場会社、風俗営業会社、資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないかを確認します。

 七 贈与報告基準事業年度における当該特別贈与認定中小企業者の総収入金額

総収入金額(営業外収益及び特別利益は除きます。)が零でないことを確認します。

 八 贈与報告基準期間において、当該特別贈与認定中小企業者の特定特別子会社が風俗営業会社に該当しないこと。

報告主体である特別贈与認定中小企業者に加えて、その特定特別子会社も風俗営業会社に該当しないことを確認します。

相続税の納税猶予制度の適用の前提となる認定に係る事業継続報告(年次報告)(円滑化施行規則12③)

相続税納税猶予の年次報告の提出に当たっては、以下の項目を報告する必要があります。

報告書は、様式第11を使用します。

3 特別相続認定中小企業者は、当該認定に係る相続に係る相続税申告期限から五年間、当該相続税申告期限の翌日から起算して一年を経過するごとの日(以下「相続報告基準日」という。)の翌日から三月を経過する日までに、次に掲げる事項を都道府県知事に報告しなければならない。

施行規則第6条第1項第8号の事由に係る認定を受けた場合には、相続税の申告期限から5年間、相続報告基準日(相続税申告期限の翌日から起算して1年を経過するごとの日)の翌日から3カ月以内に以下の事項を都道府県知事に報告する必要があります。

一 相続報告基準期間(当該相続報告基準日の属する年の前年の相続報告基準日(これに当たる日がないときは、相続認定申請基準日。以下同じ。)の翌日から当該相続報告基準日までの間をいう。以下同じ。)における代表者の氏名

後継者が代表権を有し続けていることを確認します。

二 当該相続報告基準日における常時使用する従業員の数

事業継続期間の末日に、期間中の各相続報告基準日における常時使用する従業員の数の平均を計算し、その平均人数が相続開始の時における常時使用する従業員の数の8割を下回っていないかどうかを確認します。
また、資産保有型会社又は資産運用型会社に該当することとなった場合は、事業実態のある会社かどうかを判定することになり、その際に必要となります(常時使用する従業員(経営承継相続人の生計を一にする親族は除きます。)の数が5人以上であることが必要となります(円滑化法施行規則6②一、9③十二・十三))。

三 相続報告基準期間における当該特別相続認定中小企業者の株主又は社員の氏名及びこれらの者が有する株式等に係る議決権の数

後継者が株式等を譲渡していないこと、また、後継者とその同族関係者で議決権の過半数を有し、かつ、同族関係者の中で後継者が筆頭株主(同族関係者の中に当該代表者と同じ割合の議決権数を有する株主がいても当該代表者は筆頭株主となります。)であることを確認します。

四 相続報告基準期間において、当該特別相続認定中小企業者が上場会社等又は風俗営業会社のいずれにも該当しないこと。
五 相続報告基準期間において、当該特別相続認定中小企業者が資産保有型会社に該当しないこと。
六 相続報告基準事業年度(当該相続報告基準日の属する年の前年の相続報告基準日の翌日の属する事業年度から当該相続報告基準日の翌日の属する事業年度の直前の事業年度までの各事業年度をいう。以下同じ。)においていずれも当該特別相続認定中小企業者が資産運用型会社に該当しないこと。

相続認定中小企業者が、上場会社、風俗営業会社、資産保有型会社、資産運用型会社に該当していないかを確認します。

七 相続報告基準事業年度における当該特別相続認定中小企業者の総収入金額

総収入金額(営業外収益及び特別利益は除きます。)が零でないことを確認します。

八 相続報告基準期間において、当該特別相続認定中小企業者の特定特別子会社が風俗営業会社に該当しないこと。

報告主体である特別相続認定中小企業者に加えて、その特定特別子会社も風俗営業会社に該当しないことを確認します。